個人事業主やフリーランスとして起業したり、副業を始めるとき、多くの人がぶつかるのが「ビジネス用の住所はどうするか?」という問題です。
自宅の住所を名刺に入れたり、ホームページで使用するのは不安があるし、かといって、本格的なオフィスを借りるにはお金がかかりすぎる——。
そんな悩みをお手軽に解決する選択肢として候補に挙がるのが「バーチャルオフィス」と「レンタルオフィス」です。
どちらも“自宅以外の住所”をビジネスに使えるサービスですが、仕組みや使い方はまったく異なります。
そこで本記事では、バーチャルオフィスとレンタルオフィスそれぞれの特徴と違いを比較し、自分に合ったサービスが見つかるよう、具体的な判断軸と選び方を徹底解説していきます。
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バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いを分かりやすく解説

バーチャルオフィスとレンタルオフィスは、どちらも「ビジネス用の住所を持てる」という点では共通していますが、実際ののサービス内容では、目的・設備・料金・信頼性など、多くの点で明確な違いがあります。
そこで、初めて比較検討する方でも違いが一目で分かるように、9つの視点から徹底的に違いをわかりやすく整理します。
あなたのビジネスや働き方に最適な選択肢を見つけるための基礎知識としてお役立てください。
バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いを一覧表で比較
バーチャルオフィスとレンタルオフィスのサービスの違いを理解するには、まず両者のサービス内容を、それぞれ正しく理解する必要があります。そのためにはまず、「提供される機能」と「利用目的」を明確に分けて整理するのが有効です。
以下の比較表をご覧ください。
項目 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス |
---|---|---|
主な目的 | 住所の貸与(登記や名刺・HP掲載用) | 住所+物理的な作業スペースの提供 |
住所利用・法人登記 | 可能(事業者によっては登記不可のプランあり) | 原則可能 |
作業スペースの有無 | なし(会議室などを有料で使える事業者もあり) | 完全個室または共用スペース付き |
郵便物の対応 | 転送・受取・通知など(頻度や費用は事業者による) | 受取・手渡し・社内保管が可能 |
月額料金の相場 | 1,000円〜5,000円程度 | 20,000円〜100,000円超も(立地・個室広さで変動) |
来客対応 | 基本的になし(一部事業者では有人受付あり) | 常駐受付スタッフが対応する場合あり |
向いている人 | 起業初期/住所が必要なだけの人/固定費を抑えたい人 | 商談・来客・集中作業がある人/オフィス勤務型ビジネス |
許認可の取得 | 一部の許認可ではNG(宅建業・探偵業など) | 許認可取得に必要な実体要件を満たす場合もあり |
これらの各項目について、一つずつ詳しく解説します。
主な目的
バーチャルオフィスとレンタルオフィスは、似たような名前なのですが、そもそもの目的が大きく異なります。
バーチャルオフィスで提供されるサービスの主目的は、あくまで“住所の貸与”です。
法人登記や名刺・ホームページへの掲載などに使用出来る、「信用力のある住所」が提供されています。
作業スペースなどは提供されないので、業務は自宅やカフェなど別の場所で行うことが前提です。
一方で、レンタルオフィスは“物理的な作業スペース”の提供が中心です。
個室や共用スペースが用意されており、そこで日常的に業務を行う人向けのサービスがレンタルオフィスです。来客対応やミーティングなど、対面での業務が発生するビジネスとの相性が高いのが特徴です。
目的 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス |
---|---|---|
主な役割 | 住所の貸与(登記・HP・名刺記載) | 住所+作業スペースの提供 |
想定利用シーン | オンライン完結ビジネス、法人登記のみの用途 | 商談・集中作業・対面業務のあるビジネス |
研究所からのアドバイス
バーチャルオフィスを借りるべきか?それともレンタルオフィスやシェアオフィスにすべきか?考え出した当時、著者もその違いが全く分からずに苦労しました。
本記事で情報を得つつ、まずは「本当に物理的な場所が”自宅以外の場所”に必要か」という視点で、自分のビジネスを棚卸しすることが失敗を避ける第一歩です。
法人登記の可否
バーチャルオフィスもレンタルオフィスも、どちらも「住所を使える」という点では共通点があります。
しかし、法人登記の可否やその条件には違いがあります。
バーチャルオフィスの場合
バーチャルオフィスは原則として法人登記が可能です。ただし、いくつか注意すべき点があります。
- バーチャルオフィス提供事業者のプランによっては「登記不可」のものもある
- 一部の業種(宅建業や探偵業など)は許認可の関係で登記に不向き
- 登記は出来たとしても、銀行口座開設やクレジット審査に影響することがある
レンタルオフィスの場合
レンタルオフィスにおいても法人登記は原則可能です。さらに、物理スペースによるオフィスとしての実体があることにより、登記後の銀行口座開設や許認可申請の際にもスムーズに進むことが多いというメリットがあります。
項目 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス |
---|---|---|
法人登記の可否 | 可能(プランや業種により制限あり) | 原則可能(実体要件を満たす場合が多い) |
登記で注意すべき点 | 許認可が必要な業種では制限が出る場合あり | 特に問題なく通るケースが多い |
作業スペースの有無
作業スペースの有無こそ、バーチャルオフィスとレンタルオフィスの最大の違いと言っても過言ではありません。
バーチャルオフィスの場合
バーチャルオフィスには常駐できる作業スペースはありません。
その名の通り“バーチャル(仮想)”なオフィスであり、提供されるのは住所と一部のバックオフィス機能(郵便・電話など)に限定されます。
ただし、一部の事業者では有料オプションで会議室やデスクを時間単位で利用できる場合があります。
(例:ワンストップビジネスセンターやナレッジソサエティなど)
レンタルオフィスの場合
レンタルオフィスは、実際に業務を行う物理的スペースを提供することが前提です。
物理スペースの提供には、以下のような種類があります。
- 完全個室型(1人〜複数人用)
- シェアオフィス型(共用スペース+個別ブース)
- コワーキング型(フリーアドレスでラウンジ的に使う)
多くの場合、机・椅子・Wi-Fi・電源・複合機・会議室などが完備されており、出社して働くのと同じ感覚で利用可能です。
項目 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス |
---|---|---|
作業スペースの有無 | なし(会議室など一部利用可) | 完全個室または共用型スペースあり |
常駐利用 | 不可 | 可(契約形態に応じて) |
研究所からのアドバイス
在宅ワーク中心のビジネスであればバーチャルオフィスでも十分ですが、集中して作業する場所が必要な人、チーム内でのコミュニケーションが多い人は、レンタルオフィスも選択肢に入ります。特に東京都内などの都市部では、「周囲の雑音から離れて生産性を高めたい」という理由で、シェアオフィス型のレンタルオフィスを活用する個人事業主やフリーランスも増えています。
郵便物の対応
バーチャルオフィスとレンタルオフィスでは、郵便物の取り扱い方法にも明確な違いがあります。
郵便物の受け取り方と受け取る際の手間に違いがあり、地味に工数を削減することもできる重要なポイントです。
バーチャルオフィスの場合
郵便物の対応は、受け取り・通知・転送もしくは店舗来店受け取りが基本です。
多くのバーチャルオフィスでは以下のような仕組みになっています。
- 郵便物が届くと通知(メールやLINEなど)
- 定期転送(週1回/月1回など)
- 拠点来店での受け取りも可能(営業時間内・身分証提示等)
※バーチャルオフィスの事業者によっては、即時配達やスポット依頼の郵便物転送も可能です。
ただし、着払い・本人限定郵便・大型荷物などには制限がある場合が多く、業者によっては受け取り不可や有料になることもあるため、事前確認が必須です。
レンタルオフィスの場合
レンタルオフィスでは、郵便物は受付・常駐スタッフが受け取り、保管してくれるのが一般的です。
- 毎日受け取り、社名で仕分け
- 不在時の対応も柔軟
- 会議室や自室まで届けてくれる場合もあり
リアルなオフィスとしての体裁が整っているため、荷物の受取・保管にストレスが少ないのが特徴。
通販・取引・重要書類の受け取りなどにも安心して使えるのが大きなメリットです。
項目 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス |
---|---|---|
対応方法 | 受け取り・通知・転送(or 来店受け取り) | 常駐スタッフが受け取り、保管など対応 |
対応の柔軟性 | 荷物種別によって制限あり | 宅配便や書留含めて柔軟対応が可能 |
月額料金の相場感
料金面でも、バーチャルオフィスとレンタルオフィスの間には明確な差があります。求める機能の違いが、そのままコストの違いに表れます。
バーチャルオフィスの場合
バーチャルオフィスの月額料金は1,000円〜5,000円前後が相場です。住所利用や法人登記だけであれば、月額1,000円以下で利用できる事業者も増えてきています。
【バーチャルオフィス月額料金例】
- METSバーチャルオフィス:住所貸し出し月額270円〜
- DMMバーチャルオフィス:住所貸し月額660円〜
- レゾナンス:登記可、郵便物月1回転送で月額990円~
- バーチャルオフィス1:住所+登記+月4回郵便転送で月額880円
レンタルオフィスの場合
レンタルオフィスは、月額20,000円〜100,000円以上が相場。個室の広さや拠点エリア、共用設備の充実度によって大きく価格が変動します。
【レンタルオフィス料金例】
- THE HUB:専用個室が月額20,000万円台〜
- アントレサロン:個室プランは月額30,000円〜
来客対応
対面での打ち合わせや商談が発生するビジネスにとって、来客対応の可否とその質はビジネスの拡大にとって重要な要素になります。
バーチャルオフィスとレンタルオフィスでは、来客時の対応体制が大きく異なる為、注意が必要です。
バーチャルオフィスの場合
基本的には「住所のみの提供」であるため、常駐スタッフによる来客対応は行なわないのが一般的です。
ただし、バーチャルオフィスの提供事業者によっては、以下のような例外があります。
- 有人受付付きのバーチャルオフィスでは、来客者への名刺受取や簡易応対が可能
- 事前予約により、会議室や応接室を時間単位で利用できる拠点も存在
レゾナンス、ワンストップビジネスセンターやナレッジソサエティでは、有人受付+会議室の組み合わせによって最低限の来客対応が実現できます。
レンタルオフィスの場合
レンタルオフィスでは、受付スタッフが常駐している拠点が多く、フロントや受付で来客対応を行える体制が整っているのが特徴です。
- 受付での名乗りや案内、呼び出し対応
- 社名掲示・受付端末による呼び出し機能
- 会議室や応接スペースでの打ち合わせにも即対応可
来客が頻繁にあるビジネスでは、信頼性を担保する意味でも、レンタルオフィスの方が圧倒的に安心です。
項目 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス |
---|---|---|
来客対応 | 基本なし(事業者によっては簡易受付あり) | 受付常駐/社名掲示/案内・呼び出しなどに対応 |
会議室利用 | 有料オプションとして利用可能(事前予約制) | 多くは標準設備。空きがあれば即時利用も可 |
バーチャルオフィス・レンタルオフィスに向いている人
バーチャルオフィスとレンタルオフィスは、用途や働き方に応じて、向いている人がまったく異なります。後で後悔をしないためにも、ご自身がどちらに該当するかを事前に把握しておくことが重要です。
バーチャルオフィスが向いている人
- 初期コストを抑えて起業したい人
- 法人登記やホームページ用に住所だけあればよい人
- 自宅やカフェなどの作業ベースで仕事が完結するフリーランス・副業層
- 来客対応や固定電話が不要な業態(Web制作、ライター等)
- プライバシー保護のために自宅住所を公開したくない人
レンタルオフィスが向いている人
- 商談や来客対応が日常的に発生する業態(営業、コンサル、士業など)
- 自宅以外で集中できる作業環境を確保したい人
- 法人としての「見せ方」にこだわりたい人
- チームでの作業や複数名での密なコミュニケーションを想定している人
- 許認可取得に実体オフィスが必要な業種(例:宅建業、派遣業など)
研究所からのアドバイス
「何ができるか」を起点にして選ぶのではなく、「自分のビジネスにとって本当に必要な機能は何か?」を逆算して選びましょう。
とくに最近では、バーチャルオフィスでも受付対応や会議室利用ができる拠点が増えており、“限りなくレンタルオフィスに近いバーチャルオフィス”という選択肢も可能になってきました。
許認可の取得可否
特定の業種では、行政手続き上「実体のあるオフィス」が求められるケースがあります。
許認可が必要なビジネスを始める場合、バーチャルオフィスとレンタルオフィスのどちらを契約するか、非常に重要な判断基準になります。
バーチャルオフィスの場合
バーチャルオフィスは原則として物理的な執務スペースを持たないため、以下のような業種では許認可取得の際に不利になる、あるいは不可となるケースが多くあります。
- 宅地建物取引業(宅建業)
- 有料職業紹介・人材派遣業
- 古物商
- 探偵業
- 金融商品取引業
バーチャルオフィス事業者によっては、「上記業種は契約不可」または「許認可取得の用途では利用不可」と謳っている場合もあるので、申込時には事前に詳細を確認しておく必要があります。
レンタルオフィスの場合
レンタルオフィスは、実体のある作業スペースが提供されるため、上記のような業種においても許認可の要件を満たしやすい傾向があります。
ただし、全てのレンタルオフィスで認可されるとは限りません。
契約前に以下を事前に確認しておきましょう。
- 個室の施錠可否(プライバシー保護)
- 独立性のある専有スペースかどうか
- 現地確認ヘの対応可否や賃貸借契約書の発行可否
- 過去の許認可事例
項目 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス |
---|---|---|
許認可対応 | 原則不可(用途によって制限が多い) | 実体があれば対応可。業種によっては条件確認が必要 |
どちらを選ぶべき?目的別のおすすめパターン

バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いは明確になったと思いますが、そうすると、「で、結局どっちが自分に合うの?」という疑問が出てきますよね。
このセクションでは、「起業フェーズ」「働き方」「顧客との関わり方」など、実際の利用目的別に、どちらのオフィス形態が適しているのかを整理しました。
初期コストを抑えて起業したい人におすすめなのは?
限られた資金でスタートする個人事業主やフリーランスにとって、「できるだけ固定費を抑える」というのは極めて重要なテーマです。
この視点で選ぶなら、バーチャルオフィスの方が圧倒的にコストパフォーマンスに優れています。
月額1,000〜3,000円台で、法人登記・住所利用・郵便転送といった最低限のインフラを揃えられるバーチャルオフィスは、以下のような人にとって非常に合理的な選択となります。
- 対面のやり取りが発生しないビジネスモデル(Web制作、ライター、ECなど)
- 取引先や顧客とのやり取りが基本オンライン完結できるビジネスモデル
- 立ち上げ時は信頼性よりスピード重視
ただし、来客対応が前提の業種や、信用の裏付けが必要なビジネスの場合は、コストよりも「実体ある拠点」の方が優先される場面もあります。
この場合、レンタルオフィスの方が事業成長にとって適切な土台になる可能性があります。
とはいえ、バーチャルオフィスのコストと身軽さは大変魅力。「オンライン完結型で事業を組み立てる」「必要なときだけ会議室を借りる」など、物理的制約をビジネスの設計で回避する等、工夫を凝らしてバーチャルオフィスを選ぶかたも多くいます。
顧客対応・商談が多いビジネスにはどちらが適してる?
対面での商談や来客が日常的に発生するビジネスにとって、「場所の信頼性」と「応対体制」は欠かせません。
このようなケースでは、レンタルオフィスの方が明らかに優位です。
レンタルオフィスには、商談・顧客対応に必要な以下の要素が揃っています。
- 常駐スタッフによる来客受付と案内
- 予約不要で使える会議室・応接室(※空き状況による)
- 社名掲示や受付端末による来訪者対応機能
- 対面での打ち合わせに適した静かな作業空間と環境
これらが揃っていることで、「しっかりした会社」という印象を与えやすく、信頼形成において有利に働きます。
ちょっとした事の積み重ねですが、こうした要素が「この会社、ちゃんとしてるな」という対外的な信用につながるポイントです。
特に、以下のような業態ではレンタルオフィスの利用がフィットします。
- 顧客との対面商談が多い営業・コンサルティング業
- 顧客と対面でのやり取りが多い士業(例:面談が必須な税理士や社労士)
- 来客対応が多いBtoBの受託ビジネス
- 面談や打ち合わせが主業務となるキャリア支援・研修・不動産関連業
一方、バーチャルオフィスでも会議室や受付対応が可能な拠点はありますが、それらは一部の会社の拠点に限定されるのが現状です。
(レゾナンスやワンストップビジネスセンター、アントレサロンは拠点数も多く、会議室が利用しやすい上に、受付の有人対応を実現しています)
個人事業主やフリーランスに適したオフィス形態は?
本業とは別に活動する副業プレイヤーや、専業で独立している個人事業主・フリーランスにとっては、バーチャルオフィスの方が圧倒的に相性が良いといえます。
バーチャルオフィスがフィットする理由
- 自宅住所を公開せず、信頼感のある都心住所を利用可能
- 法人登記にも対応しており、開業届や確定申告の対応にも使える
- 郵便転送や会議室利用など、必要な機能だけをオプションで追加できる
- オンライン手続き完結型が多く、時間や場所に縛られにくい
ほとんどのバーチャルオフィス事業者は、アプリや専用サイトによる来店不要の運用が可能で、時間制約のある個人事業主にとってかなり使いやすい設計になっています。
レンタルオフィスを選ぶべきケースも
ただし、例えば以下のようなケースでは、レンタルオフィスの方が適していると言える場合もあります。
- 作業に集中できる環境が自宅にない(騒音・スペース不足など)
- クライアントとの対面打ち合わせや、対面形式での指導・相談対応を行う必要がある
- 家族構成的に自宅でのWeb会議が難しい
研究所からのアドバイス
自宅では集中できないからカフェに行く、という選択肢もありますが、カフェで集中出来るか?という別の問題も出てきますし、毎日カフェで作業するにもコストがかかります。
このような場合はレンタルオフィスを借りるというのも一つの選択肢になります。
>>>後悔しないバーチャルオフィスの選び方|絶対知っておきたい15の秘訣

バーチャルオフィスとは?特徴・使い方・向いている人を解説

コストを抑えつつ、ビジネスに必要な“住所”や“登記機能”を確保できるバーチャルオフィスは、起業家やフリーランス、副業プレイヤーを中心に広く活用されています。
このセクションでは、「バーチャルオフィスとは何か?」という基本から、実際にどんな機能が利用できるのか、その活用の仕方までを分かりやすく整理していきます。
バーチャルオフィスの定義と特徴
バーチャルオフィスとは、物理的な作業スペースを持たず、住所・登記・郵便対応などの事業インフラだけを提供するサービスです。
一般的なオフィスと異なり、利用者はその拠点に出社することはなく、業務自体は自宅・カフェ・コワーキングなど別の場所で行うのが前提となっています。
バーチャルオフィスの主な特徴
- 都心一等地の住所を名刺やHPに掲載できる
- 法人登記・開業届の登録住所として利用できる
- 郵便物の受取・転送に対応(郵便到着通知や定期転送など)
- 電話番号や秘書サービスもオプションで利用可能
価格帯は月額1,000〜5,000円程度が一般的で、都心の住所を格安で使える点が最大の魅力です。
他オフィス形態との違い
- 賃貸オフィス: 個別に物件を借りて利用する方法。家賃や保証金などのコストが大きい
- レンタルオフィス: 作業スペース込みで利用可能で登記も可。月額2万円〜が一般的
- バーチャルオフィス: 住所や登記だけを提供。最低限の事業インフラだけを取得できる
>>>個人事業主やフリーランスにおすすめのバーチャルオフィスランキングTOP10【2025年版】

主なサービス内容(登記・郵便・電話)
バーチャルオフィスでは事業運営に必要な住所が貸し出され、その他のバックオフィス機能が提供されるのが特徴です。
一方で物理的な業務スペースは提供されないのが特徴です。
以下の3つがバーチャルオフィスの代表的なサービスです。
1. 法人登記・住所利用
多くのバーチャルオフィス事業者で対応しており、法人登記・開業届の提出先として利用できます。
名刺やホームページへの表記、請求書への記載も可能で、「信頼のあるビジネス用の住所」を持つことができるのが最大の利点です。
2. 郵便物の受取・転送
届いた郵便物をバーチャルオフィス事業者が受け取り、郵便到着通知・保管・転送・来店受取などの形で、ユーザーに届けるのが一般的です。
週1回の定期転送、都度転送、着払い対応の可否などはサービスによって異なります。
3. 電話番号・秘書サービス(オプション)
多くのバーチャルオフィスでは、03番号などの専用電話番号や電話転送、秘書代行サービスをオプションとして提供しています。
信頼性を高めたい事業者や、電話でのやり取りが多い業態にとっては重要な機能です。
>>>バーチャルオフィスとは?メリデメや活用事例で分かりやすく解説

レンタルオフィスとは?

レンタルオフィスという言葉は広く使われていますが、その定義は人によってまちまちです。
「作業できる場所を時間単位で借りるサービス」「賃貸より手軽なオフィス」――いずれも間違いではありませんが、本質を捉えきれているとは言えません。
このセクションでは、バーチャルオフィスや賃貸オフィスとの違いを踏まえつつ、レンタルオフィスという存在の“定義”と“本質的な価値”を再整理していきます。
レンタルオフィスの定義とは?
レンタルオフィスとは、「オフィス機能を時間または期間単位で共有・利用できる仕組み」のことです。
ポイントは、単に「場所を貸す」のではなく、オフィスに求められる設備・信頼性・柔軟性をパッケージ化して提供しているという点にあります。
たとえば、一般的なレンタルオフィスには以下のような機能が整っています。
- 個室や共用デスクなどの作業空間
- 高速ネット回線・電源・複合機などの基本設備
- 会議室・応接室・受付スタッフといった来客対応機能
- 法人登記・社名掲出などの信用補完要素
これらを利用期間に応じて、月単位または時間単位で使えるのがレンタルオフィスです。
他のオフィス形態との違い
オフィス形態 | 定義の違い | 契約期間 | 設備の準備 | 信用性 |
---|---|---|---|---|
賃貸オフィス | 空間そのものを専有して契約 | 長期(2年〜) | 自分で用意 | 高い(立地による) |
バーチャルオフィス | 実体のない住所だけを利用 | 月単位(短期) | なし(登記・郵便等)、オプション | 住所次第 |
レンタルオフィス | 空間+サービスを必要分だけ共有して使う | 月単位〜短期 | 標準装備 | 高い(受付・応対含む) |
レンタルオフィスの本質的な価値
レンタルオフィスは、「作業するための場所・空間」として使われるのはもちろんですが、その本質的な価値は“空間そのもの”にとどまりません。
実際にレンタルオフィスを選ぶ人たちが重視しているのは、場所を持つことによって得られる“信用・体裁・効率”といったビジネスインフラとしての価値です。
1. 信頼性のある「拠点」としての機能
都心部の一等地にオフィスがあることで、名刺や契約書、Webサイトに記載される住所に対外的な信頼感が生まれます。
特に来客がある業態では「訪ねたら受付があった」「実際に会議室で打ち合わせができた」という事実が、企業としての信頼性を大きく左右します。
2. 無駄のない空間コストと時間管理
必要な時間・期間・人数に応じて空間を最適化できるため、過剰なスペースを抱える必要がなく、固定費を最小限に抑えられます。
また、ネット環境・電源・複合機・受付・郵便対応など、「働くための準備」を自らやる必要がない点も、大きな利点です。
3. 「法人らしさ」を保てる環境
法人登記・社名掲示・会議室での打ち合わせ・受付応対などを通じて、企業らしい見た目と中身を揃えることができます。
これは、特にスタートアップやフリーランスが「信頼で勝負するビジネス」を行う上で、大きな武器になります。
バーチャルオフィスを選ぶ際、判断を誤りやすいポイント

バーチャルオフィスには、イメージや「名前からの先入観」で判断を誤りやすいポイントがいくつかあります。
このセクションでは、よくある“思い込み”を取り上げながら、正しい理解と選び方のヒントを整理していきます。
判断時に気をつけておくべきポイント
「バーチャルオフィスなら安く登記できてお得」と思い、深く調べずに契約してしまう方も少なくありません。
しかし実際には、価格だけで選んでしまうことで、思わぬ後悔につながってしまったケースが多く存在します。
許認可が必要なビジネスの要件は事前に確認しておく
記事の前半でも述べた通り、一部の業種ではバーチャルオフィスでは許認可が下りず、事業として成立しないケースがあります。
ただ、本当に問題なのは「起業時は関係ないと思っていたが、後から必要になって困った」というパターンです。
- 当初はWeb制作だけだったが、中古カメラを扱うEC事業に拡張し、古物商許可が必要に
- コンサル業から人材紹介サービスに発展し、有料職業紹介の認可が求められるようになった
→ 「あとで困る」という事象は、最初の選択ミスの積み重ねで起きます。今後ビジネスが拡大する可能性のある方向を事前に想定し、バーチャルオフィスで対応出来るかどうかを確認しておきましょう。
銀行口座の開設の実績があるところを優先する
バーチャルオフィスは金融機関の審査で不利になる場合がある、という事実もあまり知られていません。
審査担当者が住所を見て「バーチャルだと分かると否決される」という事例は、特にネットバンク以外のリアル店舗型金融機関で顕著です。
バーチャルオフィス事業者の中には、「口座開設実績が豊富」「金融機関との連携実績あり」と明記している事業者も存在します。
たとえば、銀行の口座開設に重きを置くのであれば、ナレッジソサエティのように銀行ビル内に所在し口座解説実績が豊富なバーチャルオフィス事業者を選択するのも手です。実際に大手都市銀行・ネットバンクなどでの開設成功事例が豊富な拠点を選ぶことで、審査通過率が大きく変わることもあります。
レゾナンスやアントレサロン、GMOオフィスサポート等も法人口座開設のサポートがあります。
→ バーチャルオフィスを選ぶ際は、銀行口座の支援サービスや“口座開設実績”もあわせて確認しておくのが賢明です。
バーチャルオフィスを選ぶときは、登記ができるかどうかだけでなく、許認可の取得要件を満たすか、金融機関での信用性に問題がないかという点まで確認しておくことが重要です。
特に、事業が成長したときに必要になる条件を見越して選ぶことで、あとからの「使えなかった」というトラブルを未然に防げます。
ごとに対応範囲が異なり、標準搭載ではないことも多いのが実情です。
特に、電話・受付・会議室は「必要だと思っていたけど入っていなかった」というズレが起きやすいポイントです。
バーチャルオフィスでも“受付対応”や“来客対応”が可能な拠点もある
「バーチャルオフィス=無人=来客不可」
そう思い込んでいる方は少なくありません。ですが、これは一部の格安サービスのイメージが先行しているだけで、実際には有人対応や来客対応に対応したバーチャルオフィスも存在します。
レゾナンス、ワンストップビジネスセンターやナレッジソサエティ等では、有人受付によって最低限の来客対応が実現できます。
まとめ
ここまで、バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いを多角的に整理してきました。
両者には明確な特徴の違いがあり、それぞれに向いている人・向いていない人が存在します。
かなりざっくり目に言えば、こんなふうに選ぶのが基本
- できるだけコストを抑えて起業したい/物理的な場所は不要 → バーチャルオフィス
- 来客対応・信用・集中作業・許認可が必要 → レンタルオフィス
ただし、実際には「住所だけ借りたいけど、来客もたまにある」「登記は必要だけど作業は家で済む」など、“中間的なニーズ”も多いのが現実です。
判断のポイントは、「機能」より「自分のビジネスの動き方」
- どこで仕事をするのか
- 顧客との接点はオンラインか対面か
- 許認可や信頼性はどの程度必要か
- ビジネスの拡張性を考慮しておく必要があるか
こうした視点で選ぶことで、単なる価格比較では見えなかった“後悔しない判断”ができるようになります。
しっかりと見極めて、後悔のないバーチャルオフィスでビジネスを大きくして下さいね。